社会・環境報告書2016
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「ニッスイ社会・環境報告書2016」を読んで第三者意見 本報告書の冒頭に、中期経営計画「MVIP2017」に掲げたCSRに根差した経営を推進するため、経営企画IR室にCSR推進課を新設したと書かれており、改革を進める経営陣の決意を感じました。また、従来の環境報告書が社会・環境報告書に改定され、有識者との対談を通してCSRの取り組みをわかりやすく紹介しています。消費者をはじめとするステークホルダーをパートナーに、独自のCSR活動を行うという企業姿勢が伝わってきます。 社会的に重要な問題となっているフードロスに対して、食品廃棄物から新しい商品が生まれる取り組みを行っていることが大いに評価されます。また、魚を余すところなく活用する使命感からEPAやDHAを含む機能性表示食品等を商品化し、魚離れと言われている日本人の健康に大いに貢献していくことも期待されます。EPA生産に特化した新工場を建設していますが、その製造設備では、貴重なご意見を頂戴しありがとうございました。当社は従来より社会貢献活動や環境負荷低減など、様々な場面でCSR活動を行っておりますが、この度、正式に組織を立ち上げステークホルダーのご意見をいただきながら、その活動を見直すとともに進化させるべく取り組むこととしました。その具体的な活動テーマは未だ議論の途上でありますが、対談にもあるとおりフードロスは重要な課題の一つと認識しております。当社は魚を余すところなく利用することを使命と考えており、EPA・DHA等の魚油を活かした機能性表示食品等を充実することで、資源の有効活用を図りつつ、人々の健康に貢献してまいります。また、森や海の環境を守る等の環境活動にも引き続き取り組んでまいります。2016年9月に第2回CSRに関するステークホルダーダイアログを開催しました。その中で、昨年の国連サミットにおいて採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を日本国内だけではなく、世界的な視点で取り組むようアドバイスを受けました。まだCSRの取り組みは緒に就いたばかりでありますが、様々なステークホルダーとの対話を通じ、ニッスイ独自のCSRを進展させ、企業の社会的責任を果たしていく所存です。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。排出される水や熱エネルギーを回収・再利用するとともに、LED照明を採用するなど環境負荷低減を配慮しており、世界一のメーカーを目指す着実な歩みが示されています。 EPAやDHAは、魚から抽出されますが、元々は植物プランクトンが生成したものを魚が摂取し蓄積されたものが多数です。植物プランクトンは、健全な沿岸域の海洋環境で生育するため、森や海の環境に対する考慮が特に重要となります。ニッスイが先導して環境負荷を低減させた企業活動を行うことが期待されます。 さらに環境マネジメント体制の構築、新たな物流拠点を含めたサプライチェーンを通じた環境負荷の低減、生物多様性の保全、CO2の削減の多様な取り組みにも着実な進展が示されました。最後の地域社会との共生のページにある社会貢献活動にみられるニッスイらしい取り組みも、重要なCSRとして今後さらに発展されることを期待します。PROFILE専門はエネルギー環境工学。2002年スマート研究会を立ち上げ、新しいエネルギー構想を発表した。震災後の東北に過疎高齢化に対応した仕組みを提案している。文化庁芸術祭大賞等を受賞したNHK番組「メルトダウン」シリーズの事故分析にも協力。ブルーカーボン研究連携機構理事長および日本ボイラ協会会長を併任。 東京海洋大学大学院教授 刑部 真弘 氏おさかべ  まさひろ第三者意見を受けて日本水産株式会社 取締役執行役員経理部、総務部、法務部、CSR、リスクマネジメント担当 山本晋也Social and Environmental Report201623

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