フードロスとは、まだ食べられるはずの食品が捨てられてしまうことです。現在、世界のフードロス発生量は年間で13億tと言われています。日本では、食料自給率は約40%(カロリーベース)と低く、多くを輸入に頼っていますが、その一方で年間600万t以上ものフードロスが発生しています。また大量の食品が廃棄されている現状とは反対に、世界には依然として飢餓の問題が存在し、深刻な飢えや栄養不足に陥っている人々が約8憶人いるとされます。
ニッスイグループは食品を取り扱う企業の責任としてCSRのマテリアリティ(重要課題)のひとつにフードロス問題を掲げています。フードロス部会を中心に、国内事業所の生産・流通・消費段階におけるフードロス削減、従業員の意識向上、一般消費者を対象とした活動など、サプライチェーン全体を通した取り組みを行っています。
*フードバンク:品質に問題はないものの販売に適さない食品と、食べ物を十分に手に入れることのできない人々を結ぶ団体。
2019年5月、日本では食品ロス削減推進法が公布されました(2019年10月施行)。その中で言及されているSDGsのターゲット「2030年までに食料廃棄を半減させる」への貢献はもちろんのこと、法律で記された事業者の責務を真摯に受け止め、これまで以上に積極的にこの問題に取り組んでいきます。
フードロス部会は執行役員(CSR部担当)を部会長として、品質保証部、SCM部、CSR部(事務局)の部長、課長がメンバーとなり、国内グループ全体で事業におけるフードロス削減と従業員の意識向上のための取り組みを進めています。
2030年の目指す姿を「サプライチェーン全体を通じてフードロス削減に取り組んでいる」こととし、自助努力において削減可能な動植物性残渣(生産過程で発生する魚の非可食部や、野菜の芯や外葉などを除く)について目標を設定し、取り組みを行っています。
対象範囲 | 中期目標(~2023年度) | 長期目標 (~2030年度) |
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2020年度進捗結果 | ||||
フードロス削減の取り組み (基準年度 2017年度) |
日本水産(株)および国内グループ会社(持ち分会社5社含む) | 6%削減 (原単位) |
21.0%削減 (原単位) |
10%削減 (原単位) |
フードロス削減のため賞味期限表示を見直す取り組みを進めています。2019年7月1日製造分より、プライベートブランド品を除くすべての缶詰製品において賞味期限の年月表示化を開始しました。その際には、品質が保たれているかどうかをチェックする保存試験を行い、賞味期限の延長が可能なことを確認しています。これらの効果として、サプライチェーン全体でのフードロス削減に加え、物流における効率化が期待されます。
また、2021年2月15日製造分より、おさかなのソーセージの賞味期限を120日から150日に30日延長しました。家庭用・業務用の冷凍食品、瓶詰製品、レトルト品などにおいても賞味期限の大幅延長に取り組んでいます。
2008年度より、支援の必要な人々に食料を提供するNPO法人セカンドハーベスト・ジャパンへ冷凍食品を寄贈しています。セカンドハーベスト・ジャパンとは、品質に問題はないものの販売に適さなくなった食品と、食べ物を十分に手に入れることのできない人々を結ぶフードバンクです。児童養護施設や母子支援施設など福祉施設への支援とともに、本来なら食べられる食品の廃棄削減につながるこの活動を、今後も継続的に行っていきます。
2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | |
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寄贈実績(t) | 9.6 | 12.6 | 9.4 | 7.9 | 9.0 |
2020年度実施 ニッスイ国内事業所
事業所名 | 寄贈先 | 寄贈内容 | 実施日 |
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ファインケミカル総合工場つくば工場 | つくば市フードドライブキャンペーン | ・従業員が持ち寄った食品(食堂にきずなBOX設置) ・工場備蓄用乾パン 上記合計11kg |
2020年10月19日~10月28日 |
ファインケミカル総合工場鹿島工場 | NPO法人 フードバンク茨城 | ・アルファ米100食 ・マジックライス200食 ・イマーク スティックゼリー5箱 |
2020年5月27日 |
・飲料水(2L) 60本 ・飲料水(500ml) 432本 ・乾パン 24缶 ・ハーベスト 48缶 ・ミニクラッカー 24缶 |
2021年2月5日 |
つくば工場 きずなBOX
つくば工場
鹿島工場
ニッスイは2019年12月にWRI(World Resources Institute、世界資源研究所)が呼び掛ける「10×20×30食品廃棄物削減イニシアティブ」へのイオン株式会社の参画に伴い、同社のサプライヤーであることから、同社主導の「日本プロジェクト」にパートナーの1社として参加しました。このプロジェクトではWRIが提唱する「目標設定・算定・行動」の取り組み手法を元に、先行して取り組む海外の事例などを参考に、自社の課題をふまえ、具体的取り組み内容を決定していきます。ニッスイはこの取り組みを通じて、サプライチェーン全体でのフードロス削減をさらに推進していきます。