Social 社会

健康・栄養のための取り組み

リード文

健康・栄養のための取り組み

日本も含めた先進国の多くが高齢社会へ突入しています。平均寿命は延び続けていますが、単にそれだけでなく、健康に生活できる期間「健康寿命」をいかに延ばすかに関心が集まっています。厚生労働省の「健康日本21(第二次)」の基本的方針でも、基本的方向の第一に掲げられている健康寿命の延伸ですが、それには病気を未然に防ぐ「一次予防」が極めて重要です。
食品企業であるニッスイグループには、「食」を通じて、皆さまに健康をお届けする責任があります。海の恵みを生かした健康素材の研究や商品開発に力を入れ、課題解決に寄与していきます。

厚生労働省「健康日本21(第二次)」

system, 株式会社ニッスイ サステナビリティ推進部, 外部協力者, 株式会社ニッスイ コーポレートコミュニケーション部, 株式会社ニッスイ 人事部人事課

基本的な考え方/推進体制

基本的な考え方

ニッスイグループは、サステナビリティ行動宣言において、「私たちは、海の恵みを活かし、イノベーションにより、食の美味しさや楽しさと健やかな生活をお届けします。」としています。この考え方に基づき、独自の技術を活かし、持続可能な水産資源から世界の人々に健康をお届けしてまいります。

推進体制

ニッスイグループは健康課題の解決を2030年までの長期にわたる経営の重点テーマとしています。社内でプロジェクトを立ち上げ、自社の「健康領域商品」の拡大に向けて取り組んでいます。

サステナビリティ行動宣言
長期ビジョン

system, 株式会社ニッスイ サステナビリティ推進部, 外部協力者, 株式会社ニッスイ コーポレートコミュニケーション部, 株式会社ニッスイ 人事部人事課

目標と実績

長期ビジョン「Good Foods 2030」/中期経営計画「Good Foods Recipe1」における目標と実績は下記の通りです。創業以来培ってきた水産原料へのアクセスおよびR&Dといった強みを活かし、当社指定の「健康領域商品」の開発を進めます。

テーマ 指標 対象範囲 2024年度目標
中期経営計画
「Good Foods Recipe1」
(2022-2024年度)
2030年度目標
長期ビジョン
「Good Foods 2030」
(-2030年度)
2022年度
KPI KPI 実績
社会価値 健康課題の解決 当社指定の「健康領域商品」売上
(基準年度:2021年度)
ニッスイグループ 1.3倍の拡大 3倍の拡大 1.0倍

「健康領域商品」(定義)

ニッスイグループの考える「広義の健康(注)」に該当するもので、国・学術・自社いずれかのエビデンスを持ち、新しい「食」を通じ、お客様の健やかな生活を応援する商品のこと(例:EPA/DHA、速筋タンパク、減塩)。

(注)広義の健康:①厚生労働省「健康日本21」に掲げら れる目標項目、または②国立高度専門医療研究センター「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言」に沿った健康の考え方。

【図版】「健康領域商品」(定義)

system, 株式会社ニッスイ サステナビリティ推進部, 外部協力者, 株式会社ニッスイ コーポレートコミュニケーション部, 株式会社ニッスイ 人事部人事課

健康・栄養課題解決のための取り組み

1. 『健康日本21(第二次)』に掲げられる「目標項目」につながる取り組み

目標項目:栄養・食生活、循環器疾患、健康寿命の延伸

<EPA(エイコサペンタエン酸)>

EPAは魚介類の脂に多く含まれるn-3系高度不飽和脂肪酸の一種で、体内では作られにくい必須脂肪酸です。わたしたちは自社の食品加工技術を用いて、EPAなど魚由来の機能性成分を含むフィッシュソーセージや健康商品を開発し、お客様にお届けしています。 また、ニッスイは千葉大学医学部との1980年代からの共同研究と持田製薬株式会社との共同開発を経て世界初のEPA医薬品(高脂血症治療薬、閉塞性動脈硬化症治療薬)開発に貢献しました。現在、ニッスイは高純度EPA製剤の原料供給を担っています。

<減塩>

食塩の過剰摂取は高血圧、脳卒中、胃がんなどの疾病リスクを高めます。水産加工品は高塩分のイメージが強いことから、香りや味覚に関する基礎研究をスタートさせました。塩味を強く感じさせる成分や減塩しても美味しさを損なわない製法の開発と実用化に取り組んでいます。

目標項目:次世代の健康、こころの健康

<DHA(ドコサヘキサエン酸)>

DHAはEPAと同様に、魚介類の脂に多く含まれるn-3系高度不飽和脂肪酸の一種で、体内では作られにくい必須脂肪酸です。ヒトの脳や神経に豊富に存在し、特に発育段階にある子どもには大切な栄養素と考えられています。ニッスイでは、DHAを活用し、乳幼児用粉ミルクの原料や、お子さまでも飲みやすいDHAドリンクを提供しています。

目標項目:高齢者の健康、健康寿命の延伸、栄養・食生活

<スケソウダラの速筋タンパク>

高齢化社会の健康課題のひとつに、加齢や疾患により筋肉量が減少するサルコペニアから身体機能が低下するフレイルに至る問題があります。スケソウダラの速筋タンパクの研究では「スケソウダラのタンパク質を食べることで筋肉量や筋力が増大する」という成果を得るとともに、スケソウダラを使った商品開発を行っています。

<DHA(ドコサヘキサエン酸)>

認知機能の低下も、高齢化が進む社会の課題です。DHAは認知機能維持に好影響を及ぼすと報告されており、ニッスイではその特徴を活かしたDHAドリンクを開発しました。これまで培ってきた魚油の臭いを抑える技術や、酸化の進行を抑える加工技術を活用することで、毎日の暮らしに取り入れやすい製品となっています。

2. その他の取り組み

菜食を選択したいと考えるお客様に向けて

食に関する考え方の多様化や、健康への関心の高まりなどを受けて、畜肉を植物性素材に置き換えた加工食品に注目が集まっています。ニッスイでは、独自の大豆ミートを使用したシリーズ「VEGETABLEMEAT」を立ち上げ、菜食を選択したいと考えるお客様にも選択いただけるよう取り組んでいます。

system, 株式会社ニッスイ サステナビリティ推進部, 外部協力者, 株式会社ニッスイ コーポレートコミュニケーション部, 株式会社ニッスイ 人事部人事課

適切な表示・販促・マーケティング

方針

ニッスイグループでは、「品質保証憲章」の第1条の7において、「使用原料の由来・履歴、アレルギー物質、栄養成分、生産工程など商品に関する情報を正しく、わかり易くお客様に提供する」としています。
さらには、「品質保証基準」の「表示の基準」において「基本方針」を定めています。「表示の基準」では、その他にも商品名、商品説明、一括表示、栄養成分表示、アレルギー表示をはじめとし、表示に関するさまざまな基準を設定しています。
また「倫理行動基準」においては、【景品表示法の遵守】にて、「顧客に対して、物品や金銭等の景品を提供する場合には法の制限を遵守しなければなりません。また、製品・サービスの広告宣伝や表示は、事実に基づき、顧客に誤解を与えないようにします。」としています。

ニッスイグループが遵守すべき表示に関する国内法一覧

内容 法規名
商品強調表示 景品表示法、不正競争防止法、商標法、意匠法、著作権法、公正競争規約(一括表示以外)、健康増進法、地方自治体の条例
一括表示、アレルギー表示 食品表示法、計量法、公正競争規約(一括表示関連)
注意表示、警告表示 製造物責任法
容器包装の識別表示 容器包装リサイクル法、資源有効利用促進法
医薬品の表示 医薬品医療機器等法

一括表示/アレルギー表示

お客様には商品のパッケージを通じて商品の情報をお伝えしています。分かりやすく、見やすいパッケージを意識して商品情報をお伝えすることを社内の基準で定めています。
アレルギー物質に関しては、原材料の一括表示の枠外にも、推奨品目を含む28品目の使用物質は大きく、見やすい色で表示しています。
また、フィッシュソーセージや練り製品には、卵を使用していません。卵アレルギーの方でも安心してお召し上がりいただくため、パッケージには「卵を使っていません」マークを入れてお伝えしています。

【写真】一括表示
【写真】アレルギー表示

健康・栄養の情報をお届けする取り組み

お客様が健康的な食品を選択できるよう、製品パッケージ上やウェブサイト上で栄養に関する情報をお届けしています。

ニッスイが製品パッケージ上で使用している健康・栄養に関するラベル
名称 ラベル 説明 商品の例
特定保健用食品(トクホ) ラベル 健康の維持増進に役立つことが科学的根拠に基づいて認められています。表示されている効果や安全性については日本政府が審査を行い、食品ごとに消費者庁長官が許可しています。 詳細はこちら
機能性表示食品 パッケージ上に「機能性表示食品」と記載。 事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品です。 詳細はこちら
速筋タンパク ラベル スケソウダラの速筋タンパクを使用した、フィッシュソーセージやちくわなどの一部の商品に使用されています。 詳細はこちら
減塩 ラベル 缶詰やフィッシュソーセージ、ちくわなど、幅広い商品カテゴリで、塩分をカットした商品に使用されています。 詳細はこちら
トマトリコピン・くちなし(の植物系色素)で着色 ラベル フィッシュソーセージの一部の商品に使用されています。 詳細はこちら

栄養プロファイリング

栄養プロファイリングとは、食品に含まれる栄養成分を評価し、食品を栄養の観点でスコア化する方法です。栄養面での価値を見える化することで、お客様にとって、どの食品が健康的なのかが一目で分かり、選択しやすくなるというメリットがあります。
ニッスイの海外グループ会社ではNutri-Scoreをはじめとした栄養スコアを導入しています。特に、食品の製造・販売を行うシテ・マリン社(フランス)では、自社のNB(ナショナルブランド)品の大部分に関して、製品パッケージ上での栄養スコア表示を完了させました。シテ・マリン社のすべてのNB品はAあるいはB評価となっています。その他のグループ会社においても、ウェブサイト上での情報提供を進めています。

Cité Marine's packaging example with Nutri-Score

Nutri-Scoreラベルがついたシテ・マリン社のパッケージ例

誤解を招かないイラスト表現

商品の素材等をイラストにする際、その素材を正しく描くように注意しています。安易に描き、違う品種・素材等にならないよう、イラストを使用する際は必ず現物確認を行っています。

【例】

修正前) チーズと分かりやすくするために、表面に穴をつけた。
修正後) 確認したところ、実際に使用しているのは表面に穴のないチーズだった。そのため穴のないチーズのイラストに修正した。

【写真】誤解を招かないイラスト表現

従業員教育

品質保証部が主催する従業員教育のひとつ「品質管理基礎研修」において、表示の基準に関してもトレーニングを行っています(1回/年)。

品質保証部が主催する従業員教育

監査

FSSC22000等の取得および更新を通して、表示に関しても社外からのチェックを受けています。

取得事業所状況はこちら

内部通報制度

基準違反を抽出するため、内部通報制度を設けています。

コンプライアンス課題を抽出する取り組み「内部通報制度の概要」

system, 株式会社ニッスイ サステナビリティ推進部, 外部協力者, 株式会社ニッスイ コーポレートコミュニケーション部, 株式会社ニッスイ 人事部人事課