ニッスイグループはCO2、水、廃棄物を重要3指標とし、2018年度に中長期目標を策定、環境負荷低減に取り組んでいます。SDGs、パリ協定、循環型社会の実現など、地球規模で示されるさまざまな持続可能性のビジョンに対し貢献していきます。
環境負荷低減目標 (基準年度 2015年度)
環境指標 | 対象範囲 | 中期目標(~2023年度) | 長期目標(~2030年度) | |
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2020年度進捗結果 | ||||
CO2 | 日本水産 ( 株 ) および国内グループ会社(持ち分会社 5 社含む) | 10%削減(原単位) | 13.4%削減(原単位) | 15%削減(原単位) |
水 | 10%削減(原単位) | 14.3%削減(原単位) | - | |
廃棄物 |
1) 5%削減(原単位) |
1) 9.3%削減(原単位) 2) ゼロエミッション率99%以上の事業所の割合76.5% |
ゼロエミッション率99%以上の事業所の割合を100%とする | |
フロン漏洩量 | ニッスイ個別 | 1,000t-CO2未満 | 2,981t-CO2 | - |
ニッスイの国内グループ会社である日水物流株式会社は、全国に16の物流センター(本社オフィス除く)を抱える低温一貫物流サービス会社です。通関から保管・輸送までの一連の機能を保持しており、対応温度帯は冷凍・冷蔵に加え、常温まで可能です。ニッスイ製品を取引先に届けるためのネットワーク拠点となっています。
日水物流では、老朽化した特定フロン(R-22)冷媒の冷却設備を、高効率の自然冷媒機器へ更新し環境負荷低減につなげています。冷蔵倉庫の冷却設備は大型であり、出力が大容量です。それに比例して保有冷媒量も多く、漏洩時には環境負荷が甚大になる可能性があります。そのため、自社設備に対する冷媒漏洩のリスク評価を行い、リスクが高い設備から更新を実施しています。また、新しい自然冷媒機器の選定に際しては、冷蔵庫の規模と冷却による冷却負荷を考慮しています。
物流センター | 更新後の冷凍機 | 更新後の自然冷媒 | CO2排出削減量 (t-CO2) |
備考 | |
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2020年度 | 仙台港BC | 水冷式 スクリュー冷凍機 | NH3/CO2(前川製作所) | 1491.5 | 環境省「令和2年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」を利用 |
甘木BC | 空冷式 レシプロ冷凍機 | CO2(前川製作所) |
製品の入出庫の際、倉庫内部の冷気を外部へ漏らさないようにするなど、省エネルギーの工夫を進めています。
取り組み(効果・目的) | 物流センター | 備考 | |
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2020年度 | トラックバース(注)の冷気漏れ防止 (冷却負荷低減) |
川崎BC | 製品の入出庫の際に使用する輸送トラック用接車口と扉(オーバースライダー)の間に、シートシャッターを設置。前室を作ることで、外部への開放状態を無くす |
冷蔵倉庫棟の荷捌き室における防熱増強 (電力使用量削減) |
仙台扇町BC、大津BC | 荷捌き室の天井・壁面のウレタン防熱材を増強し、外気熱の遮断性を向上。製品の品質確保にもつながる |
(注)トラックバース:トラックを駐車して荷物(製品)の積み下ろしをするスペース。
ニッスイの国内グループ会社であるキャリーネット株式会社は、日本全国に11営業所(本社オフィス除く)を抱える運送会社です。日々ニッスイ製品を取引先に届ける役割を担っています。冷凍を中心とし、冷蔵・常温といった全温度帯に合わせた輸送が可能であり、各営業所でのエリア配送から、自社車輌および協業会社とのパートナーシップ・ ネットワークを活用した全国広域輸送までを行っています。
キャリーネットでは、フェリーを活用した運送を行ない、CO2削減に取り組んでいます。
2021年度、キャリーネットのモーダルシフト(運送の一部を、パートナーである商船三井フェリー株式会社の、主に貨物を輸送するRORO船を利用した海上輸送に転換)が、国土交通省より流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律「物流総合効率化法」に認定されました。川崎~福岡間の陸送区間距離が約1,100kmから約120kmに短縮されることにより、CO2%排出量を67%削減できます。また、ドライバーの運転時間については87.4%の短縮となります。
区間 | 年度 | モーダルシフトの乗船便数 | CO2排出削減量(t-CO2) |
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関西~福岡間 460km |
2015年度 | 949 | 461.2 |
2016年度 | 896 | 435.5 | |
2017年度 | 1,188 | 577.4 | |
2018年度 | 1,564 | 760.1 | |
2019年度 | 1,586 | 770.8 | |
2020年度 | 1,586 | 770.8 | |
川崎~福岡間 1,100km |
2021年度 | - | 従来と比較し67%削減 |
商船三井フェリーのRORO船に乗り込む、キャリーネットの専用車両
冷凍食品の工場デポ間においてトレーラー輸送を行い、大量輸送を実施しています(注1)。またスイッチ運行(注2)を行うことで、運転手の労働環境改善にも役立っています。
二層式トラックでは、仕切りにより前室が冷凍、後室は冷蔵や常温など多様な運送を実現、お客様のニーズに合わせて車両内部を最適化することが可能です。また、異なる温度帯を一度に輸送することにより、従来であれば温度帯別に複数台用意していた車両を削減することができます。
(注1)トレーラー輸送:大型車の約1.3倍積載することが可能。シートパレットは40枚の積載が可能。
(注2)スイッチ運行:ヘッドとトレーラーを切り替えて運行すること。
2020年1月、ニッスイの海外グループ会社であるタイデルマール社のAIE新工場の建設が完了し、5月より操業を開始しました。新工場には温室効果ガス削減の取り組みとして、前川製作所の「省エネ型冷凍機」とTosplant社の「太陽光発電装置」を設置しています。これらはJCMより二国間クレジット制度(注)の対象事業として採択されました。
・省エネ型冷凍機:原料冷蔵庫・製品冷蔵庫(容積28,000㎥)の冷凍機として設置。2020年(4~12月)は、電力量1,462,324kWhの削減、CO2排出量851mt- CO2の削減となりました(基準年2019年)。
・太陽光発電装置:新工場の太陽光発電システムでは、電力を工場の冷蔵庫や排水処理施設・照明設備・空調システムの電力系統に供給。2020年(4~12月)は、発電・利用実績957,843kWhとなり、CO2排出量557mt-CO2の削減に結びつきました。
(注)二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism: JCM):日本がパートナーとなる途上国と協力して温室効果ガス(GHG)の削減に取り組み、削減の成果を両国で分け合う制度。日本の優れた低炭素技術、製品、システム、サービス、インフラ等に関して、途上国への普及や対策実施を促進し、これらの活動により実現したGHG排出削減・吸収に対する日本の貢献を定量的に評価、削減目標の達成に活用する。
ニッスイの営業車におけるエコカー(ハイブリッド車)の割合は下記の通りです。
2020年度 | 2021年度(9月末) | |
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エコカーの割合 | 89.7% | 89.3% |
集計範囲:ニッスイ個別
ニッスイの海外グループ会社であるノルディック・シーフード社(デンマーク)は水産品の販売会社です。ノルディック・シーフード社では、従業員の通勤と営業手段として、エコカー(電気自動車とハイブリッド車)の使用を推奨しています。社内に充電ステーションを設置、また社外に関しては充電サブスクリプション・サービス(注)の使用を可能にし、従業員がエコカーを積極的に活用できる環境を整えています。
(注):定額支払い型。利用の流れの例としては、ある企業が管理する充電ステーションを利用するために、月額料金を支払い、会員認証カード(充電カード)を取得。会員ユーザーはその企業が管理する充電ステーションであればどこでも利用可能となる。
【太陽光発電】
会社名・事業所名 | 事業内容 | 2020年度 | 備考 | ||
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発電量 (MWh) |
CO2削減量 (t-CO2) |
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国内 | ニッスイ八王子総合工場 | 食品の製造 | 23 | 10.7 | - |
ニッスイ姫路総合工場 | 食品の製造 | 60 | 23.3 | - | |
ニッスイ東京イノベーションセンター | 研究開発 | 57 | 26.0 | - | |
株式会社ハチカン | 食品の製造 | 27 | 14.0 | - | |
ニッスイマリン工業株式会社 | 海洋エンジニアリング他 | 13 | 4.5 | - | |
海外 | タイデルマール社(タイ) | 冷凍食品の製造 | 958 | 557.0 | 2020年新工場完成・稼働開始 |
海外グループ会社を中心に、太陽光、風力、水力などといった再生可能エネルギーのみによって発電された電力の購入が進んでいます。
購入実績
会社名・事業所名 | 事業内容 | 2020年度 |
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ゴートンズ社シーフードセンター(米国) | 冷凍食品の製造・販売 | マサチューセッツ州シーフードセンターで使用する全電力 9,389,520 kWh/年 |
ケイスター・シーフード社(英国) | 鮮魚・水産加工品の製造販売 | 自社で使用する全電力 2,264,039 kWh/年 |
計画・目標
会社名・事業所名 | 事業内容 | 目標 |
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フラットフィッシュ社(英国) | 鮮魚・水産加工品の製造販売 |
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自社の事業だけではなく、サプライチェーン全体における温室効果ガス排出量を算出し、削減につなげることが重要になっています。ニッスイでは2022年4月を目標とし、生産における燃料の燃焼や電気の使用以外に当たる、Scope3(注)と呼ばれるサプライチェーンの上流と下流におけるCO2排出量の算出を進めています。
(注)Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)。
ニッスイの海外グループ会社であるシテ・マリン社(フランス)は、水産加工食品の製造会社です。2020年、シテ・マリン社は自社のCM5工場において、2つの蒸発式凝縮器(注)の使用を中止し、その取り外しを行いました。蒸発式凝縮器を使用した場合(水消費量10,265 m3)と比較し、取り外し後は、10%のみの水消費となります。2021年にはCM3工場においても同様の取り組みを実施する計画です。
(注):冷凍機などに使用。冷媒配管に直接水を散布し、水の蒸発により冷媒を冷却する。一定の水量を必要とする。