ニッスイグループはCSRのマテリアリティ(重要課題)の1つに「豊かな海を守り、持続可能な水産資源の利用と調達を推進する」を掲げ、2030年までにニッスイグループの調達品について持続可能性が確認されていることを目指しています。
水産資源の利用と調達では、資源の持続と労働における人権課題の解決が求められています。私達は全てのサプライヤーとの協働により、人権を尊重した持続可能な調達を推進します。
原材料、または製品を調達する上で基本的な考え方を整理し、方針としてまとめました。
私たちニッスイグループは、創業の理念に基づき、「地球や海の恵みに感謝し、5つの遺伝子から多様な価値を創造し、事業を通じて社会の課題解決に取り組む」ことを宣言しています。
そこで、原料等の調達においてもステークホルダーの期待に応え、社会貢献に寄与できるよう、CSR行動宣言を踏まえて「ニッスイグループ調達基本方針」を策定しました。
私たちニッスイグループは、本方針に従って、お取引先のご理解とご協力、ご支援を仰ぎながら、信頼関係に基づく調達を推進してまいります。
お取引先と協働して、持続可能な調達を行う為、サプライヤー行動指針を策定しました。この指針は、「遵法・調達倫理」「環境配慮」「人権配慮」「お取引先様との協働」「品質・安全性確保」「情報セキュリティ」「社会貢献」の7つの大項目から構成されています。
ニッスイグループ調達基本方針、サプライヤー行動指針のもと、ニッスイグループが関わるサプライヤーでの人権・環境リスクを排除する為、3つのチェック体制でCSR調達を推進しています。
お取引金額が多い、依存度が高い等、ニッスイグループにとって関係性の深いサプライヤー向けのセルフチェックシートです。「遵法・調達倫理」「環境配慮」「人権配慮」「品質・安全の確保」「情報セキュリティ」「社会貢献」の項目から成り、サプライヤーに自社の取り組み状況を答えていただきます。特に環境と人権に重きを置いた質問構成となっており、全132項目から成ります。このセルフチェックシートにお答えいただきたいサプライヤーに向けては、説明会を実施しています(CSR調達説明会)。
これからニッスイとお取引を行うサプライヤーに向けたチェックシートです。ヒアリング形式で行い、CSRの基本的な内容で17項目の質問から成ります。ニッスイのCSR調達の考え方と目指すべき姿に同意をいただき、一緒に協働いただける意思確認が目的です。
既にお取引のある、650社以上の全サプライヤーを対象としたチェックシートです。項目はCSR調達で特に重要視する「人権配慮」に絞り9項目ですが、ニッスイ従業員による現地・現物確認です。
これら3つのチェック体制により、ニッスイグループとお取引のあるサプライヤーの現状を確認・把握し、リスクがあると判断されれば一緒にその現状を改善していきます。ニッスイはサプライチェーン全体で持続可能な調達を目指します。
初めて「ニッスイCSR購買取り組みセルフチェックシート」に回答いただく国内サプライヤーに対して、事前説明会を実施しています。「ニッスイグループ調達基本方針」「サプライヤー行動指針」を含むニッスイグループのCSRの取り組み、また「ニッスイCSR購買取り組みセルフチェックシート」の主旨をお伝えするほか、外部講師を招いて「水産・食品の調達で求められるCSR」の講演を実施、CSR調達の基本的な考え方を共有します。
2019年度に初めてセルフチェックシートを実施する16社に対しては、2019年2月に説明会を行いました。
ニッスイグループCSR調達説明会
2019年度は国内外33社(新規:19社、再調査:14社)に「ニッスイCSR購買取り組みセルフチェックシート」に回答いただきました。回答結果は集計しグラフ化するだけでなく、「人権配慮」と「環境配慮」への認識・取り組みに焦点を当てたコメント付きのフィードバックシートを返却し、各社へ今後取り組みを強化いただきたい点をお伝えしました。さらに、回答の意図と実態を確認するため、サプライヤー10社を訪問し、ヒアリングを行いました。
また、「簡易チェックシート」を用いて、国内のサプライヤー5社の労働環境や労務管理についての確認を行いました。
2020年度は、36社(新規:23社、再調査:13社)のサプライヤーに「ニッスイCSR購買取り組みセルフチェックシート」にお答えいただくほか、随時「簡易チェックシート」による確認を行っていく予定です。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 (予定) |
|
---|---|---|---|
ニッスイCSR購買取り組みセルフチェックシート 実施社数 (うち再調査社数) |
32 (-) |
33 (14) |
36 (13) |
簡易チェックシート 実施社数 | 未実施 | 5 | 随時 |
新規サプライヤー向けCSR購買取り組みチェックシート 実施社数 | 未実施 | 未実施 | 随時 |
2018年8月、有識者2名とのステークホルダ・ーダイアログを開催しました。ニッスイグループが調達した水産資源の資源状況調査についての意見交換と、CSR調達の深化につき、ご意見と評価をいただきました。
その中で、「サプライヤーを巻き込んだCSR調達の仕組み作りはIUU漁業対策としても心強い。今後、どのような形で第三者の目を入れるかを検討する段階になる。」「IUU漁業への対策が広がれば、現在問題になりつつある奴隷労働問題に対する自己防衛にもつながる。」とのご意見をいただきました。
ステークホルダー・ダイアログ
ニッスイの海外グループ会社であるゴートンズ社(米国)は製品の原料となる水産物、パーム油、包材において持続可能な原料を調達することを「Gorton's Trusted Catch」で約束しています。
ゴートンズ社は、天然魚に関しては全てMSC認証、また養殖魚に関しては全てBAP(注)またはASC認証といった水産エコラベルを取得した水産物を調達し、水産資源の持続可能性向上に積極的に取り組んでいます。
(注)BAP:Best Aquaculture Practices (養殖業最善慣行認証)
ニッスイの海外グループ会社であるキング・アンド・プリンス・シーフード社(以下K&P社)は、アメリカで水産品を中心とした冷凍食品の製造・販売を行っています。同社は事業運営においてFairness(公正さ)を重要視しており、同社の水産物の製造に関わるサプライヤー対して、強制労働を含む不公正な労働が行われていないことを示す誓約書への署名を求めています。2019年12月末現在で58のサプライヤーが署名を行いました。また、労働環境に関する独自の監査を行っているほか、2020年にはSEDEX(注)への加盟を予定しており、K&P社のCSR調達に対する信頼性を高める取り組みを進めています。
(注)SEDEX:社会・環境面に配慮された事業慣行の推進を目指し活動しているイギリスのNPO組織。世界最大級のサプライチェーン管理システムを運営しており、世界150カ国、50,000を超える企業や組織が会員となっている。