2021年3月より、環境に配慮したことを示すニッスイ独自のマーク「みらいの海へ」の商品パッケージへの表示を開始しました。容器包装における環境配慮の取り組みを広く理解いただくとともに、お客さまが環境に配慮した商品を選択できるようパッケージ上でお伝えすることを目的としています。「みらいの海へ」は2021年3月1日発売の新商品・リニューアル品より表示を開始しています。
森・川・海の水の循環の意味を込めて、「∞」(infinity、無限)をモチーフとしました。マークの左側はエコへの取り組み、右側は豊かな海を示しています。環境への配慮が海の豊かさと結びつき、ひいては人々のいきいきした生活と希望ある未来につながっていくことを表現しています。
ニッスイブランド全商品を対象とし、容器包装について環境配慮の取り組みを行った際に表示が可能となります。表示に関する環境配慮基準は、ニッスイの「容器包装選定ガイドライン」および本マークの表示基準で定めています。
商品の個包装やラベルなどに、「トレーのプラスチック使用量を減らしました(従来比○%削減)」などの具体的な環境配慮の内容をマークと併記します。
大きな大きな焼きおにぎり
2020年度、海洋プラスチック問題や温暖化など、プラスチックが与える地球環境への影響を踏まえ、容器包装選定ガイドラインを策定しました。商品保護や品質保持といった役割・機能は生かしつつ、可能な限り容器包装のプラスチック使用量削減を図ることを目的のひとつとしています。また、対象はニッスイブランド全商品(調理冷凍食品、加工食品、常温食品、水産品、ファインケミカル品)となります。
取り組み内容 | 具体例 | |
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Reduce (減らす) |
容器包装に使用するプラスチック量の抑制 (最小化) |
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Replace (置き換え) |
植物由来、再生素材原料の採用、置き換え |
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Recycle (リサイクル) |
リサイクルしやすい素材の採用、変更 |
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その他環境配慮 (プラスチック以外) |
植物由来インキや森林認証紙の採用など、プラスチック以外の環境配慮も進める |
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当ガイドラインに沿って「容器包装選定チェックリスト」を作成、商品開発のフローに組み込み運用しています。容器包装の素材・サイズ・厚さなどに関し、適切な環境配慮が検討されているかどうかを確認できる仕組みです。
日本では、家庭から出る「容器」「包装」ごみに関して、それらを使用・製造・輸入した事業者に再商品化(リサイクル)の義務が課せられています。ニッスイおよび国内グループの各社は、上記を定めた容器包装リサイクル法(注)にのっとり、販売した商品の容器包装の再商品化を(公財)日本容器包装リサイクル協会に委託し行っています。
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
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プラスチック(t) | 4,456 | 3,939 | 3,622 |
紙(t) | 416 | 627 | 607 |
びん(t) | 3,476 | 3,176 | 2,981 |
対象範囲:ニッスイ個別
(注):日本の一般家庭でごみとなって排出される商品の容器や包装(びん、PETボトル、お菓子の紙箱やフィルム袋、レジ袋など)を再商品化する目的で作られた法律。
ニッスイは、プラスチック部会および容器包装エコプロジェクトを中心とし、自社のすべての製品を対象に、プラスチック使用の見直しを進めています。
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
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食品部門(㎏) | 15,630 | 33,465 | 33,814 | 72,830 | 62,610 |
水産部門(㎏) | - | - | - | 23,835 | 45,532 |
容器包装選定ガイドラインに沿って、商品の品質は確保しながら、プラスチック製容器包装の減容化や薄肉化を行っています。薄肉化などといった既存の商品形態での削減だけでなく、トレーを使用しないことでプラスチックの使用量を削減するなど、さらなる取り組みを進めています。
商品に使用するプラスチックトレーを紙素材に変更し、年間約15トンの削減を見込んでいます。
商品に使用するプラスチックトレーを紙素材に変更し、年間約41トンの削減を実現しました。
商品に使用するプラスチックトレー・商品の外装に使用するフィルムの寸法の縮小化を行い、年間約6トンの削減を見込んでいます。
商品の外装・帯に使用するフィルムの寸法の縮小化や薄肉化を行い、年間約32トンの削減を実現しました。
発泡スチロール納品を、季節によって3形態の使い分けを行い、2023年度約36トンの削減を実現しました。
発泡スチロール
ハイブリッドタイプ
段ボール
ニッスイ国内グループ会社(養殖会社)では、水産品の輸送用発泡スチロール箱(魚箱)の使用を見直し、代替素材の使用検討を進めています。気温の高い夏場以外の期間を中心とし、代替品として、撥水性のある段ボール箱の使用を推進しています。
会社名 | 代替素材 | 2020年度 | 2021年度 |
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ニッスイ国内グループ会社 (養殖会社)全社 |
紙素材(高遮水性段ボール)(単位ケース) | 42 | 6,907 |
紙素材+発泡スチロール(注)(単位ケース) | 1,610 | 678 |
(注):段ボールと発泡スチロールを重ねた素材。通常の発泡スチロール箱と比較し、プラスチックの使用量を抑えることができる。
会社名 | 事業内容 | 取り組み実績 |
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タイデルマール社 (タイ) |
冷凍食品の製造 | 主力商品について顧客と協議し、2023年5月より荷姿を単箱に変更することで、PPバンド使用削減に貢献した。年間6,200kgの削減を見込む。また、サプライヤーと協力し、原材料1袋あたりの重量を20㎏から25㎏に変更することで、内袋のプラスチック使用量を削減。年間600㎏の削減を見込む。 |
食品のプラスチック製容器包装は、多くの場合、複数の素材を張り合わせて作られています。また、大きさや薄さ、使用後の汚れの程度もさまざまです。これらのことが食品容器包装のリサイクルを難しくしているという実状があります。そのため、設計段階からリサイクル可能なデザインとすること、また、リサイクル可能な場合にはそのことを消費者の皆さまに分かりやすく伝え、使用後の回収・再資源化に結び付けることが重要です。
会社名 | 取り組み目標・計画・実績 |
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ゴートンズ社(米国) | 2019年より自社の製品における二つの主要な容器包装形態(SURPs立型再密封可能パウチと直接充填型容器包装)に関して、サプライヤーと協働し、既存の素材の見直しとリサイクル可能な新しい素材のテストを開始。 2020年、市販品の容器包装に関して下記の通り目標を決定。 【目標】
2021年、市販品の容器包装に関する取り組み結果は下記の通り。
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フラットフィッシュ社(英国) | 2020年、自社の大部分の製品において、消費者がリサイクルすることのできるプラスチック容器の導入を進めた。また、容器包装に関して下記の通り次年の計画を決定。 【計画】
2021年、容器包装のリサイクルを妨げる要因として、トレーに付属する吸水パッドを特定(トレーと異なるプラスチック素材のためリサイクルには不適)。吸水パッドを必要としない新しいトレーを開発し、リサイクル可能なデザインとするとともに、2.9tのプラスチック削減につなげた。 |
(注):その容器包装がリサイクル可能かどうかを示す米国・カナダのラベル。ゴートンズ社では、2020年12月現在、既にすべてのジッパー付きラミネート加工ピロー容器 にこのラベルを表示している。
プラスチックごみは生産工場や物流の現場においても発生します。ニッスイグループでは、国内の生産や物流の段階におけるプラスチック排出量の削減に関し、環境指標として目標を定め、取り組みを進めています。部門ごとにプラスチック排出物の内容を分析し、原材料サプライヤーとの協働などにより排出物を削減します。
国内の食品生産工場におけるプラスチック排出物を対象に、プラスチックごみの種類とそれぞれが占める重量の割合を洗い出しました。その結果、原材料に由来する包材が、プラスチック排出物の重量の大部分を占めていることを特定し、削減ターゲットのひとつとして設定しました。ニッスイグループでは、国内グループのすべての生産工場で、原材料の容器(袋)に関し、リユース可能な素材・形態への変更を検討します。また、通い箱への置き換えを行い、リユースの推進を図ります(例:原材料であるタマネギ・牛乳・米の容器)。
改善前:原材料のタマネギ(ビニール袋)
改善後:原材料のタマネギ(通いコンテナ)
物流の現場においても、プラスチック排出物に関してターゲットの検討を行いました。水産品の流通では、天然生鮮マグロの輸送に使用する発泡スチロール梱包に関して、リユース可能な通い箱への転換を進めています。2023年度は取り扱い本数の20%にあたる約600本を鮮魚用の通い箱で輸送しました。
また、物流の多くの場面で荷崩れ防止などに使用されているストレッチフィルムに関しては、プラスチックリサイクル企業と協働し、国内グループ内でのクローズドループ(注)によるリサイクルの仕組み構築に取り組んでいます。今後、クローズドループの仕組みを活用し、国内グループ内で2025年までに再生ストレッチフィルムの使用100%を目指します。
(注)クローズドループ:従来であればごみとして廃棄されていたものを再生し、新たに資源として利用すること。
鮮魚用の通い箱