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天然水産資源の持続的な利用

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天然水産資源の持続的な利用

世界の水産資源は枯渇化が進んでおり、2018年の国連食糧農業機関(FAO)の報告書によると、世界の海洋水産資源は資源安定状態が7%、満限利用の状態が60%、過剰漁獲状態が33%とされています。水産資源の状態は、海の恵みを受けて事業を営むニッスイグループにとって、中長期的な事業のリスクやチャンスに関わる非常に重要なものであると考えています。
そのため、調達品の資源状況の把握と、対応すべき課題の特定を目的に、ニッスイグループ全体で調達した水産資源状態について調査を行っているほか、グループ全体で持続的な水産資源の利用のための取り組みを推進しています。

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第2回ニッスイグループ取扱水産物の資源状態調査(2019年)

ニッスイおよびグループ会社(国内20社、海外20社)が2019年に取引した天然魚の実績をもとに、資源調査を行いました。水産物は原魚換算で約271万トンとなり、世界の天然水産物漁獲量の約2.7%に相当します。

2017年の前回調査から更に調査方法を深化させ、魚種、漁獲海域、原産国、重量(原魚換算)に加えて漁法や漁具も調査しました。また、第1回調査では対象としなかった魚油・配合飼料原料を今回の調査対象に加えました。調査データの分析はSFP(注)(Sustainable Fisheries Partnership)へ委託し、第三者性を確保しました。

(注)SFP:持続可能な漁業のためのパートナーシップ、サプライチェーンで漁業改善を推進する米国NGO。

資源調査の方法と結果

【図版】資源調査の方法と結果

(注1)FAO:Food and Agriculture Organization of the United Nations(国連食糧農業機関)。
(注2)FishSource:SFPが2007年に開設した国際的な資源評価データベース。各国行政機関の水産資源情報等をもとに開発された。
(注3)ODP:SFPが2015年に設立したシーフードの調達を自主的に開示するためのオンライン報告プラットフォーム。

【図版】資源調査の方法と結果

調査の結果、ニッスイグループの調達エリアと数量は上図の通り、日本が一番多く約81万トン、次いで南米、北米となることがわかりました。

【図版】取り扱い魚種は

取り扱い魚種は、魚粉や魚油の原料として使用されているニシン・イワシ類が最も多く、次いでタラ・メルルーサなどの白身魚類、サバ・アジ・ブリなどの浮魚類と続きます。上位2つのカテゴリーで全体の約68%を占めることがわかりました。

資源管理状態の評価結果

今回の調査結果は第三者である外部機関(Sustainable Fisheries Partnership)に送り資源状態の評価を行いました。
同機関が管理する国際的な資源評価データベース「FishSource」(注)では資源状態、漁業管理体制など下記5項目を各々10点満点でスコア化しており、この評点をもとにODP(Ocean Disclosure Project)が定める方法により4段階で資源管理状態を判定しました。

(注)FishSource:各国行政機関の水産資源情報等をもとに開発された国際的な資源評価データベース。

●FishSource 5つのスコア

スコア1:管理戦略の予防原則に対する準拠性
スコア2:管理者の科学的根拠に対する準拠性
スコア3:漁業者のコンプライアンス
スコア4:現在における資源の健全性
スコア5:将来における資源の健全性

【図版】2019年調達品の資源管理状態
【図版】ODPによる評価手法

SFPによる分析の結果、調達品の約71%が「優れた資源管理」もしくは「資源管理されている」状態であることがわかりました。一方で要改善状態の資源が8%、スコアが欠損しており判定できない資源が21%ありました。

持続可能な水産物利用を推進する第三者プログラム

【図版】調達総量に占める比率
【図版】調達総量に占める比率

また、エコラベル等の持続可能な水産物利用を推進する第三者プログラム由来の調達は、全漁獲量の約51%にのぼりました。MSC認証品の約77万トンのうち、スケソウダラが約72万トンと9割以上を占めています。

課題魚種の設定について

ニッスイグループは、調達水産物のうち以下の2点を特に課題と考え、取扱重量の多い魚種から優先的に今後の取り組みについて議論を進めています。

①絶滅危惧種
調査の結果、取り扱う水産物の一部に、IUCN(国際自然保護連合)で定められた絶滅危惧種Ⅰ類(IUCNレッドリストにおけるCR, EN)に該当する魚種が含まれていることが判明しました。

【図版】取り扱い魚種は

今回は、絶滅危惧種Ⅱ類(VU)も併せて調査しており、上位にはイトヨリダイ、タイセイヨウダラ、コダラなどが含まれていることがわかりました。タイセイヨウダラ、コダラにはMSC認証品があり、現在これらの魚種の6割以上が認証品です。これらの魚種については、徐々に認証品へ切り替えるよう努め、切り替えの難しい魚種については、FIP(注)への関与も視野に入れ、持続性の確保につながる取り組みを進めていきます。
IUCNレッドリストに該当する魚種については、認証の有無に加えて、資源状態や漁獲規制などを注視しつつ個別に対応を検討してまいります。

(注)FIP:漁業者、企業、流通、NGOなど関係者が協力し、漁業の持続可能性の向上に取り組む漁業改善プロジェクト。

②Not Scoredの魚種
配合飼料の原料となる魚種の多くがこのカテゴリーに含まれることが分かっています。サプライヤー・ラウンドテーブルへの参画など、社外とも協力してトレーサビリティを高めるように努めてまいります。その他の不明魚種についても資源状況や各漁業国のIUU(違法・無報告・無規制)漁業対策を注視し、各国に科学的な資源管理を行うようSeaBOSを通じた提言を行うなどの対応をしていきます。

継続した調査の実施

ニッスイグループは、管理されていないことが明らかな資源や不明な状態が継続する資源、さらにIUU(違法・無報告・無規制)漁業や強制労働が疑われる資源は取り扱いません。常に変化する水産物の資源状態について把握するため、定期的に水産資源調査を実施していきます。そして、将来にわたってマーケットの需要に応えられるよう、持続可能な水産物の利用に努めます。

第1回水産資源調査の結果はこちら

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WWFジャパン「太平洋クロマグロ保全の誓い」への参画

ニッスイグループは、WWFジャパンの提起による「太平洋クロマグロ保全の誓い」への参画により、これに賛同する複数の日本企業とともに、国際漁業資源である太平洋クロマグロの資源管理に関してさらなる国際合意を進めることを望む意思を表明します。

詳しくはこちら

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RFVS認証の取得

ニッスイの海外グループ会社であるオーストラリアン・ロングライン社(オーストラリア)は、主に南氷洋でメロ漁業(MSC認証対象)を営んでいます。
2021年1月、同社が所有するAntarctic Discovery号が、世界に先駆けて初めてRFVS(Responsible Fishing Vessel Standard)認証を取得しました。RFVS認証は漁船に関する認証で、非営利組織であるGSA(Global Seafood Alliance)によってグローバルの規模で運営されています。漁船の管理や漁獲のトレーサビリティに加えて、船上で働く従業員の安全やウェルビーイングといった人権の観点からも監査がなされます。本認証取得により、同社が船内の乗組員に対して高水準の注意と安全を順守しており、奴隷労働や劣悪な生活環境といった違法な慣行に関与していないことを世間に示すことができました。同社は2021年2月、新船Antarctic Aurora号においてもRFVSを取得しています。
また、同じくニッスイの海外グループ会社であるフラットフィッシュ社(英国)は、2019/2020年に認証の技術ワーキンググループの一員として、認証の査読などを通し、このRFVSに貢献しました。フラットフィッシュ社はこの認証スキームに対して、2006年の立ち上げ当初だけでなく、その後2016年に再開された際にも賛同し、実現に向けて継続的な支援を行いました。

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海鳥の偶発的捕獲防止のための取り組み

漁業において、本来目的とする魚ではない、海鳥の偶発的な捕獲が課題視されています。漁業を行うニッスイのグループ会社では、トリライン(注1)やムーンプール(注2)を導入し、海鳥の混獲防止に努めています。

(注1)トリライン:漁船の船尾に取り付けた長い棒の先から吹き流しやテープを付けたロープを曳航(えいこう)し、鳥が餌に近づけないようにする仕掛け。トリポールともいう(出典:WWFウェブサイト)。
(注2)ムーンプール:船底に開けられた円形の穴。延縄漁船において、そこからラインを巻き上げることで、甲板での作業の場合と比較し、野鳥を巻き込むリスクが低下する。また船員の安全確保にもつながる。

【写真】オーストラリアン・ロングライン社漁船のムーンプール

オーストラリアン・ロングライン社漁船のムーンプール

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ニューイングランド水族館とのパートナーシップ

ニッスイの海外グループ会社であるゴートンズ社(米国)は、ニューイングランド水族館(米国マサチューセッツ州ボストン、以下NEAq)と海洋保護、持続可能な水産資源の確保ためパートナーシップを結んでいます。ゴートンズ社が2008年に自社のシーフード製品についての科学的な持続可能性評価をNEAqに依頼したことに始まり、このパートナーシップは2020年12月で12年を迎えました。

【写真】NEAq

NEAqはモントレーベイ水族館とならび、世界的な水産資源研究の知見を有しており、 漁業や養殖事業の動向、飼料、品種改良など、持続可能な漁業の取組みを進めるうえで科学的で有意義なアドバイスやサポートを提供してくれています。
また、ゴートンズ社ではSustainability Action Plan (持続可能性に向けた行動計画)を策定し 、KPIを設定して進捗管理を行っており、NEAqとの意見交換を行いながら計画を進めています。

これまで築いてきたNEAqとの強い信頼をもとに、これからもゴートンズ社は資源の持続的な利用、海洋環境の保全に積極的に取り組みます。

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新たな漁法(PSH)の開発(シーロード社)

水産資源の持続可能性を高めるためには、漁業の方法(漁法)にも工夫が必要になってきます。海の環境を悪化させてしまうような漁法や、目的とする魚以外の生物を獲ってしまう混獲の問題が指摘されており、海の生態系を守り環境を悪化させないためにも、より生物や環境にダメージの少ない漁法を開発する必要があります。

ニッスイの海外グループ会社であるシーロード社(ニュージーランド)は、国内の大手水産会社であるAotearoa Fisheries社およびSanford社、そして農業及び水産業の持続可能性を研究するPlant & Food Research社とパートナーシップを組み、混獲を減らし、本来目的とする魚を生きたまま捕獲できる「PSH漁法システム」を開発することに成功しました。
PSH漁法システムでは、柔軟なポリ塩化ビニール製で海水が流入すると筒状に広がる漁具を使用するため、魚が泳いでいる状態で生きたまま水揚げすることが可能です。小型魚種やサイズの小さい魚は、漁具の特定のサイズの穴を通って逃げることができます。

【写真】PSH漁法システム

科学的試験では、PSH漁法で捕獲した鯛は水深20メートル以内での生存率が100%であるという結果が出ています。水深が深くなるにつれ生存率は下がる傾向にありますが、PSH漁法では一般的な漁法よりも高い生存率で魚を捕獲できることが明らかになりました。
このことから、深海生物の研究や、水深の深い場所に生息する海洋生物の捕獲にもPSH漁法は有効と考えられています。

前述の4社は、2005年のプロジェクト立ち上げからおおよそ10年もの間、調査研究などの試行錯誤を繰り返し、2016年ついにPSH漁法の商業化(実用化)を実現させました。シーロード社は現在、PSH漁業を広め、持続可能な漁業の普及に寄与すべく取り組みを行っています。

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