SeaBOS(Seafood Business for Ocean Stewardship、持続的な水産ビジネスを目指すイニシアティブ)は、2016年11月にストックホルム大学(スウェーデン)のストックホルム・レジリエンスセンターが主催した会議「キーストーン・ダイアログ」で提唱された海洋環境および海洋資源の保全と持続的な資源利用を進めるイニシアティブです。世界の主要水産関連企業8社が協働し、科学的側面からのサポートを受けて活動していることが特徴です。ニッスイは同年12月にSeaBOSに署名・参画し、2017年に開催された「東京サステナブル・シーフード・シンポジウム2017」で、SeaBOSの考え方に賛意を表明するとともに、サステナビリティ推進活動の一環として取り組みを進めていくことを宣言しました。
世界各国の水産業界のリーダー企業や科学者とともに、持続的な水産事業のための課題解決に取り組んでいます。
SeaBOSの最大の特徴は、科学者と水産業界の主要企業が協力し、科学的根拠に基づき持続可能性に取り組んでいることです。そのひとつの例としては、SeaBOSメンバーの企業が、生態系研究における古典的な概念「Keystone種」にヒントを得て選定されていることが挙げられます。「Keystone種」とは、生態系に大きな影響を与える、要となる種のことです(元々Keystoneとはアーチ型石橋の頂上部の要石(かなめいし)のこと)。SeaBOSは、この概念に基づき、世界の大手水産企業こそが海洋生態系に大きな影響を及ぼす「Keystone actors」の可能性があり、またそれらの企業がサステナビリティの取り組みでリーダーシップを発揮すれば水産業界全体に連鎖的な効果をもたらし、結果として水産資源や海洋生態系の管理の大きな向上につながると考えています。
SeaBOS資料より
SeaBOSはIUU漁業撲滅や海洋プラスチック問題などに関する複数のタスクフォースを有し、水産資源の持続可能性のためさまざまな取り組みを行っています。
SeaBOS資料より
2023年10月、第8回SeaBOS会議が開催されました。IUU(違法・無報告・無規制)漁業および強制労働・児童労働の撲滅、養殖における抗菌剤使用削減、海洋プラスチック問題、気候変動問題など、各タスクフォースの主要テーマについて議論を行い、それぞれにおける目標と計画について合意しました。主な合意内容については下記をご覧ください。
第8回SeaBOS 会議の様子1
第8回SeaBOS 会議の様子2
2023年10月に、SeaBOSで取り組んでいる各タスクフォースの進捗状況および2022~2023年の各企業の活動をまとめた「Impact Report」を初めて発行しました。
SeaBOSで取り組んでいるタスクフォースのうち、V. Reducing plastic pollution(海洋プラスチック汚染への対応)ではマルハニチロ株式会社、株式会社極洋およびニッスイが中心的な役割を担っており、市中で発生したごみは最終的に海洋に流出するという考え方に基づいてプラスチック問題に取り組んでいます。
SeaBOSのプラスチック問題への取り組みを加速・拡大・周知することを目的に、初の3社合同クリーンアップイベントとなる「SeaBOS日本3社合同海岸クリーンアップ2023」を2023年7月29日に千葉県の稲毛海浜公園「いなげの浜」にて実施しました。今後も、こうしたイベントでの協働を通じて取り組んでいきます。