Environment 環境

CO2排出量の削減​

リード文

地球温暖化による原材料供給の不安定化や異常気象による生産・物流への影響など、気候変動はさまざまな事業活動を妨げるリスクであり、特に温室効果ガスの大部分を占めるCO2の排出削減は、気候変動の緩和に向けた重要な課題です。
ニッスイグループは、CO2排出量の削減を中長期的な課題と捉え、2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、事業の継続性と社会的責任の両面から取り組みを進めています。

system, 株式会社ニッスイ サステナビリティ推進部, 外部協力者, 株式会社ニッスイ コーポレートコミュニケーション部, 株式会社ニッスイ 人事部人事課

推進体制‐環境部会

環境部会は、ニッスイグループにおける環境負荷の低減と気候変動への対応を目的とし開催されています。協議された内容、また各環境目標に対する各部署の進捗についてはサステナビリティ委員会に報告しています。

【図版】体制図
サステナビリティ委員会
  • 委員長:代表取締役社長執行役員(CEO)
  • メンバー:全執行役員、社外取締役
  • 事務局:サステナビリティ推進部
  • 報告先:取締役会
  • 開催頻度:年6回
環境部会
  • 部会長:執行役員(QA部門・サステナビリティ推進部管掌)
  • メンバー:専務執行役員(CFO)、FC総合工場、食品生産推進部、八王子総合工場、コンビニエンス事業部、水産事業第二部、水産事業第四部、漁業養殖推進部、SCM部、総務部、技術開発部
  • 事務局:サステナビリティ推進部
  • 開催頻度:年4回
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目標と実績

長期ビジョン「GOOD FOODS 2030」/中期経営計画「GOOD FOODS Recipe1」および「GOOD FOODS Recipe2」における目標と実績は下記の通りです。

指標 対象範囲 実績 KPI
2022年度 2023年度 2024年度 2024年度目標
中期経営計画
「GOOD FOODS Recipe1」
2027年度目標
中期経営計画
「GOOD FOODS Recipe2」
2030年度目標
長期ビジョン
「GOOD FOODS 2030」
CO2排出量(Scope 1, 2)
(基準年度:2018年度、単位:総量)
ニッスイ
グループ
12.2%削減 6.2%削減 6.4%削減 10%削減 20%削減 30%削減
2050年カーボンニュートラル - - - - - -
冷媒の特定フロン(注)
  • 国内:特定フロン冷媒の保有 39.5%
  • 海外:特定フロン冷媒を保有する会社 4/15社
  • 国内:特定フロン冷媒の保有 34.3%
  • 海外:特定フロン冷媒を保有する会社 4/15社
  • 国内:特定フロン冷媒の保有 28.3%
  • 海外:特定フロン冷媒を保有する会社 4/15社
- - 使用ゼロ

(注):特定フロンの保有に関しては、国内と海外で集計方法が異なります。

CO2の排出量

グラフ
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CO2排出量削減の取り組み

再生可能エネルギーの利用

ニッスイグループは、2050年カーボンニュートラルの達成に向け、再生可能エネルギーの利用拡大を進めています。太陽光発電設備の設置を可能な限り検討し、PPA(注)などによる再生可能エネルギー由来電力の使用を推進しています。また、魚油由来のバイオマス燃料の活用などにも取り組んでいます。

(注)PPA:Power Purchase Agreement。自社で自社で設備投資を行うのではなく、 電力販売会社と再生可能エネルギーで発電された電力の購入契約を結ぶ。

再生可能エネルギー使用量

グラフ

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太陽光発電設備(タイデルマール社)

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太陽光発電設備(日本デリカサービス伊勢崎工場)

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派生油活用ボイラー(ファインケミカル総合工場鹿島油脂工場)

生産工場におけるCO2の排出量削減/抑制

【バイオマス発電でメタンガス排出を抑制】

ニッスイ⼋王⼦総合⼯場では冷凍食品、水産練り製品および調味料品の製造を行っています。2018年度より、八王子総合工場では廃⽔処理に関して、既存の酵⺟処理施設の増強として嫌気性のオゾン処理施設を導⼊しています。ただし当施設における廃⽔処理過程では、CO2よりはるかに⼤きな温室効果を持つメタンガスが発⽣してしまいます。そこで、処理過程で発⽣したメタンガスについては回収し、発電機で燃焼させるというバイオマス発電についても実施をしています。これにより廃⽔処理に付加価値を設けることができ、またメタンガスをそのまま⼤気に放出してしまうことによる温暖化の促進を防⽌することができます。そのメタンガスの排出抑制量は2,380t-CO2/年(見込み)となります。

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⼋王⼦総合⼯場 バイオマス発電施設

【熱エネルギーの有効活用】

ニッスイグループでは、生産工程で発生する熱エネルギーの有効活用を推進しています。生産設備から発生する廃熱を回収し、給水温度の加熱などの用途に活用することで、エネルギー使用量の抑制を図っています。また、設備や配管からの放熱を抑制するため、断熱ジャケットの設置による断熱性の向上などにも取り組んでいます。

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断熱ジャケットによる断熱性向上

輸送におけるCO2の排出量削減

ニッスイの国内グループ会社であるキャリーネット株式会社は、日本全国に12営業所(本社オフィス除く)を抱える運送会社です。日々ニッスイ製品を取引先に届ける役割を担っています。冷凍を中心とし、冷蔵・常温といった全温度帯に合わせた輸送が可能であり、各営業所でのエリア配送から、自社車輌および協業会社とのパートナーシップ・ ネットワークを活用した全国広域輸送までを行っています。

【 モーダルシフト(フェリー等内航船の活用)

キャリーネットでは、通常のトラックによる輸送から、フェリー等の内航船を活用し環境負荷を低減するモーダルシフトへの転換を進めています。2021年度、 川崎~福岡間におけるモーダルシフトが、国土交通省より流通業務の総合化および効率化の促進に関する法律「物流総合効率化法」に基づき、総合効率化計画として認定されました。トラックによる運送の一部を、パートナーである商船三井フェリー株式会社の主に貨物を輸送するRORO船(注)を利用した海上輸送に転換することにより、陸送区間距離が約1,100kmから約120kmに短縮され、CO2排出量は71%削減となります。また、ドライバーの運転時間については87.4%の短縮となります。

2024年度 実施航路
区間 モーダルシフトの乗船便数 CO2排出削減量(t-CO2
関西~福岡間 460km 1,753 1,987
川崎~福岡間 1,100km 496 1,222
関東~関西間 510km 682 683
その他航路 13 18

(注)RORO船(Roll-on/roll-off ship):車両を収納する車両甲板を持ち、貨物を積んだトラックやトレーラーの車両をそのまま運搬できる貨物用船舶。

図:モーダルシフト(フェリー等内航船の活用)
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商船三井フェリーのRORO船に乗り込む、キャリーネットの専用車両

【トレーラー輸送】

冷凍食品の工場デポ間で、トレーラー輸送(注1)を行い、大量輸送を実施しています。またスイッチ運行(注2)を行うことで、運転手の労働環境改善にも役立っています。

(注1)トレーラー輸送:大型車の約1.3倍積載することが可能。シートパレットは40枚の積載が可能。
(注2)スイッチ運行:ヘッドとトレーラーを切り替えて運行すること。

【二層式トラックの活用】

二層式トラックでは、仕切りにより前室が冷凍、後室は冷蔵や常温など多様な運送を実現、お客様のニーズに合わせて車両内部を最適化することが可能です。また、異なる温度帯を一度に輸送することにより、従来であれば温度帯別に複数台用意していた車両を削減できます。

【クールハイブリッドの導入】

2024年6月より、大型クールハイブリッドトラック(日野自動車製)を10台導入しました。電気エネルギーをバッテリーに蓄え、冷凍機及び走行用のエネルギーに変換することで大型車両のCO2を削減しています。

エコカーによるCO2の排出量削減‐営業車にエコカーを導入

ニッスイでは営業車におけるハイブリッド車およびPHV車/EV車(注)の導入を進め、CO2削減に取り組んでいます。導入割合の目標および実績は下記の通りです。

(注)PHV車:Plug-in Hybrid Vehicleの略。外部電源で充電できるハイブリッド車で、バッテリー容量が大きい。電気による充電だけでも従来のハイブリッド車より長い距離を走ることができる。EV車:Electric Vehicleの略。電気自動車。

エコカーの導入状況

指標 対象範囲 実績 2024年度
目標
2030年度
目標
2022年度 2023年度 2024年度
ハイブリッド車の導入 ニッスイ個別 93.0% 95.1% 95.5% 100.0% 100.0%
PHV車/EV車の導入 - 1.0% 0.5% - 10.0%

集計範囲:ニッスイ個別

水素燃料電池を導入した養殖給餌漁船の開発と実証事業に参加

ニッスイグループの黒瀬水産(株)が参加する「魚類養殖における水素燃料電池を導入した養殖給餌漁船の開発と実証」が、水産庁の「養殖業シナジービジネス創出事業」に採択されました。この事業は一般社団法人海洋水産システム協会を代表機関とし、国立研究開発法人水産研究・教育機構水産技術研究所と黒瀬水産の3者でコンソーシアムを設立し、養殖業の成長産業化・脱炭素化に向けてカーボンニュートラルな養殖業への転換を推進するため、養殖作業に従事する漁船(養殖給餌漁船)の動力源を化石燃料から水素などの非化石燃料に転換することを目的に、水素燃料電池を搭載した養殖給餌船の技術開発、建造、現場での実証実験を行います。養殖業では、漁船からのGHG排出量の削減が持続的な水産業を構築するうえで重要な施策とされており、今後もこのような新しい技術開発に積極的に取り組んでいきます。

【事業目的と内容】

  • 水素燃料電池漁船のエネルギーシミュレーションにより、給餌などの養殖作業を確保する機器選定・配置した船型とし、「水素燃料電池船の安全ガイドライン」に基づく水素燃料電池を動力源とした養殖給餌船を開発する
  • 実証船は16トン型、推進出力250キロワットの給餌養殖漁船を建造予定
  • 約90日の実証実験を通じて問題なく運航や給餌作業が実施できるかの実用性の検討や、航続距離・船速・操業可能時間などのデータを収集、既存船との経済性の比較など、今後の水素燃料電池船導入に向けた課題の抽出と整理を行う
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現在使用されている給餌船

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冷媒の脱フロン化

ニッスイグループ全体で、冷媒の使用の見直しを進めています。2030年度、特定フロンについては使用ゼロを目標とするとともに、自社内の主要冷凍冷蔵機器のうち、新規導入する機器の100%を自然冷媒機器にしていきます。取り組みの一例となる、政府補助金事業を利用した自然冷媒への変更や、自然冷媒の新規導入の実績は下記の通りです。

  導入件数 導入事業所の例 補助金の名称の例 自然冷媒の種類の例 CO2排出削減量
(t-CO2
2022年度 3件 日水物流ほか 令和4年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金
「脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業」
CO2/NH3 344
2023年度 3件 日水物流ほか 令和5年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金
「脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業」
CO2/NH3 719
2024年度 2件 日水物流ほか 令和6年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金
「脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業」
CO2/NH3 428
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